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#このラジオがヤバい | NHK・民放連共同ラジオキャンペーン

あの人が語る #このラジオがヤバい

[ALEXANDROS]

川上 洋平

営業マンだった[ALEXANDROS]川上洋平がラジオで「進路指導の先生」になるまで

取材当日、待ち合わせ場所であるTOKYO FMのラジオブースに入ると、ダブルのライダースジャケットを羽織りサングラスをかけ、小脇にはギターを抱えて鼻歌を口ずさむ、いかにもロックミュージシャンらしい[ALEXANDROS]川上洋平の姿があった。
そんな彼は、大学に進学し就職活動を経て営業マンとして企業に勤めた過去を持つ。自身がレギュラーで担当する『SCHOOL OF LOCK!』の『アレキサンド LOCKS!』では、そういった経験の中から学んだことを活かして、”進路指導の先生”として、リスナー=生徒と向き合っている。今回のインタビューには、[ALEXANDROS]のフロントマンとしての顔、等身大の「川上洋平」の顔、そして「洋平先生」の顔を、それぞれ覗かせながら番組へかける思いと自身のラジオ体験について語ってくれた。

サラリーマン時代は、営業車の中で毎日ラジオを聴いていました

 

ラジオを聴きはじめたのはいつ頃でしたか?

中学校3年生の頃ですね。受験勉強中にJ-WAVEや、TOKYO FMの『JET STREAM』なんかをよく聴いてました。あと、広末涼子さんの『広末涼子のがんばらナイト』も!

実家の自分の部屋にテレビがなかったので、代わりにラジオを聴いてたんです。

受験が終わってからはあまり聴かなくなっちゃったんですけど、大学を出て就職したのを機にラジオ熱が再燃したんですよ。

当時は営業マンだったので、営業車を運転しながらずっと聴いてました。昼間はサッシャさんやクリス智子さんやDJ TAROさんの番組、夕方は『GROOVE LINE』。J-WAVE漬けでしたね。

『GROOVE LINE』には投稿もしていたくらい大ファンでした。ピストン西沢さんと秀島史香さんの黄金コンビがとにかくおもしろくて、今じゃ絶対放送できないような内容だらけでした(笑)。だから、デビューして僕たちの曲が『GROOVE LINE』でかかったときは感動しましたね。

あと、その頃はHMV渋谷で公開生放送をしていたので、何回も仕事をサボって観にいってましたよ(笑)。そのとき配ってたステッカー、まだ持ってるんです。懐かしいなあ。

バンドも仕事だと思ってやっているんです、という言葉の真意は?

では、ご自身の番組『アレキサンド LOCKS!』について、簡単にご説明をお願いします。

『SCHOOL OF LOCK!』という番組の中で、曜日替わりのパーソナリティとしてやらせてもらっているコーナーです。パーソナリティはそれぞれ何かの科目の先生を受け持つんですよ。僕は進路指導室の先生なんです。番組の企画が持ち上がったときに自分が何の先生になるかっていうのを考えて、勉強とかじゃなくて、進路指導がいいんじゃないかと思ったんですよ。

ご自身から提案されたんですね。

そうなんです。大学進学した後にがっつりサラリーマンやって、それからバンドでデビューした人は、あんまりいないんですよ。だから活かせるんじゃないかと。説明会行って、エントリーシート書いて、就活は一通りやってきました。内定もらったのに留年しちゃったこともあったんです(笑)。そういう経験が、リスナーからの真面目な進路相談に乗るっていう今の番組に繋がっているんです。

リスナーからは「将来こういうことやりたいんです」とか「◯◯になるにはどうすればいいですか?」とか日々質問が来ていて、そういうところで頼ってくれるのはやっぱりうれしいですね。学校の先生もこんな気持ちだったのかな(笑)。

それに、「仕事というものをネガティブに捉えないでほしいな」っていうのを伝えたいんですよ。僕はバンドも仕事だと思ってやっているんです。

扱っている商材は芸術なのでどこか高尚なものとして捉えられがちだけど、それでお金をもらっていることには変わりない。僕らは音楽をつくって、マネジメントやレーベルの社員の人たちがそれを届けてくれて、そして聴いてくれる人がいる。たくさんの人との関わり合いの中で回っているんです。その中で、僕らはひとつの役目を担っているんですね。だから、1人の働き手として、これから仕事に就こうとしてる人たちを応援したいんです。

企業に勤めた経験が、今の活動にも活きているんですね。では、印象に残っている相談を1つ挙げるとしたら、どんなものが思い浮かびますか?

たくさんあるんですけど……「パン工場に就職したい」という相談をしてくれた高校生の子が、特に印象的かもしれないですね。

その子はとにかくパンが大好きで、パンへの熱い思いを聞かせてくれたんです。就職できるといいねって送り出したんですけど、その後も定期的に番組に報告をくれて、高校卒業後には無事にパン工場に就職できたそうなんです。
今は工場のレーンを担当していて、「私が好きなパンは別のレーンなのでいつかそっちに移りたい」とか、細かく話してくれるんですよ。

僕はただ相談を受けただけで何かしてあげられたわけじゃないけど、見守ることができたのかなって勝手に思っています。相談を受けて、その続きまで知れたことがうれしかったんですね。

コンビニでそのメーカーのパンを見るとなんだか買っちゃうんですよ。

その子、ゆくゆくは独立して、お姉ちゃんと一緒にパン屋さんをやりたいらしくて。そこまで見届けられたらいいなあ。

いい話……。

ただ、僕はグルテンを控えているので、たくさんパンを食べることはできないんですけど(笑)。

(笑)ちなみに、番組にメッセージをくださった方から声をかけられたことはありますか?

ありますよ! ライブのときに。でも、ちょっと困るというか……。

声をかけられるのはあまり好きではない?

いえいえ、そういうわけじゃないんですけど……ライブハウスにいるときは[ALEXANDROS]の川上洋平なので、どこかカッコつけていないといけないというか(笑)。ミュージシャンとしての振る舞いをしているときに、「先生!」って声をかけられると調子狂っちゃうんです。「今はやめて! 今は先生モードじゃないから!」って(笑)。ラジオには、素の自分で向き合っているので、そのギャップがなんだか恥ずかしくなっちゃうんですよね。

先生! ラジオの魅力ってなんですか?

最後に、ラジオを聴いたことない人にラジオのよさを伝えるとしたら、どんな言葉をかけますか?

僕がラジオを代表するつもりはないですけど、少なくともリスナーとしていろんな場面でラジオに助けられてきた者としては、一対一の姿勢でいてくれる存在だってところが、ラジオのよさだと思っています。だからまずは聴いてほしいですね。

自分の仕事の中では、ラジオが一番言葉に責任が問われるんですよ。

例えば雑誌のインタビューだったらライターさんのフィルターを通したものだから、僕の言葉に別のニュアンスが乗る。テレビも僕たちの一面を切り取ってるもの。でもラジオだと、喋ったことがそのまま電波に乗るんですよね。

僕たちはライブでほとんどMCをやらないので、ラジオが唯一本気で喋る場所。特にうちの番組のリスナーは進路に悩んでいる生徒たちなので、嘘はつけないですよね。一対一の対話の中で、自分の言葉に責任を持つために、ありのままの本音でぶつかって、無責任な慰めや励ましは絶対にしないように心がけています。

あとはやっぱり音楽との出会いの場所だということですね。僕自身、サッシャさんやジョージ・ウィリアムズさんが紹介していた音楽を聴いて育ってきて今がある。自分もそうやって誰かの未来に影響を与えることができるかもしれない、と思いながら音楽をやっているし、ラジオをやっているんです。

編集:長嶋太陽
執筆:渡辺紺
撮影:高比良美樹