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#このラジオがヤバい | NHK・民放連共同ラジオキャンペーン

あの人が語る #このラジオがヤバい

いきものがかり

水野 良樹

人間らしい「スピード感」がいい。いきものがかり水野良樹のラジオとの向き合い方

長年ラジオ番組でレギュラーを務めるほか、グループの再始動の発表をJ-WAVEでおこなうなど、人一倍ラジオへの愛着を持ついきものがかりの水野良樹(みずのよしき)。彼が語るラジオのよさとはずばり「スピード感」。それは音楽を時間芸術として捉える彼ならではの言葉だった。

メンバーの番組は「照れくさくて聴けない」

ラジオを聴きはじめたのはいつ頃でしたか?

大学生の頃から、メンバーの山下穂尊の車に機材を乗せて都内のライブハウスに行くようになって。その車中でラジオを聴くようになったのが最初ですね。

それこそ、今一緒に番組をやっている藤田琢己さんがエフヨコ(Fm yokohama 84.7)でやっている『MUSIC KINGDOM』とか、よく聴いていて。

藤田さんと一緒にナビゲーターを務める『SONAR MUSIC』は2016年の10月にスタートし、番組開始から2年半を迎えます。

洋・邦問わず、最新の音楽をいち早くお届けするというコンセプトのもと続けてきた番組です。スタジオライブにも力を入れていて、ここまで精度のいいライブをお届けしてる番組はなかなかないと思いますよ。最近でいうと中村佳穂さん。スタッフの皆さんが日々新しい音楽をチェックしているからこそ、彼女のような素敵なミュージシャンにスタジオライブをお願いできたので、本当にありがたい。音楽に強いJ-WAVEならではって感じですね。

いきものがかりのメンバーの番組は聴かれますか?

実は、全然聴いてないんです(笑)。たまに偶然聴いちゃうことがあるんですけど、山下の番組Fm yokohamaの『上手投げ!!!ラジオ』では、山下の視点から見た僕や吉岡(聖恵)のことが語られているので、聴いてしまうとなんだか照れくさいし、気恥ずかしいというか。

逆もまたしかりで、例えば僕が番組の中で、吉岡はこういうふうに歌と向き合っていて、本当にバカ真面目なスタンスを貫いていてすごいんですよ、という話をぽろっと出しちゃったりすると、そういうときに限って吉岡本人が聴いている(笑)。

翌日「なんか昨日、(私のこと)喋ってたよね」みたいなことを言われたことがあって、本当に恥ずかしかったですね。面と向かって言うのがこっ恥ずかしいからラジオで喋っているところもあるので。

ラジオの何よりの魅力は「スピード感」

水野さんが思う、ラジオのよさってどんなところでしょうか。

そうですね、スピード感がとてもいいなって思っていて。速くはないし、ゆっくりでもないと思うんです。本当に「ちょうどいい」。

例えばTwitterなんかだと、ものすごいスピードで情報が拡散しちゃうじゃないですか。みんな慣れてしまっているけど、それって実は人間が本来持っている時間感覚とは違ったスピード感だと思うんですよ。

喋っている最中に思いつくことってあるじゃないですか。そういうことって、ラジオ以外のメディアだとそのまま話すのがなかなか難しかったりすると思うんです。リアルタイムで思いついたことをそのままのスピードで喋れるというのが、ラジオの何よりの魅力かなと思います。これも今話しながら思いついたんですけど(笑)。

なるほど、ラジオを「パーソナリティとリスナーだけの狭い1対1の空間」というふうにおっしゃるかたは多かったですが、空間ではなく「時間」の観点からの考察も興味深いです。

前に「フリクションペン」の商品企画部のかたに伺ったお話が、僕のラジオに対する考え方のヒントになっていると思います。

そのかたがおっしゃっていたのは、ペンの何がいいかって言うと、手で書く速度がいいんだと。人は書いている間に考える。今はペンより速く情報をアウトプットできる道具がたくさんあるのに、まだまだペンでメモする人がいるのは、人が考える速度にはペンが一番合っているからじゃないか、というお話で。それってラジオとかなり近い話だなって気がしているんですね。

ラジオって、人間が自然に理解できて、自然に考えられて、自分はどうかなって思ったりだとか、そういうふうにちょうどいいスピード感でお話が伝わっていくものだと思ったんです。

いきものがかりの再始動の発表をラジオでしたのもよかったなと思っていて。

ネットを使ってたくさんの人にいち早く伝えることもできたんだけれど、ラジオならではの、速くも遅くも演出されていない生のスピード感だったからこそ、そのときの僕たちの温度感や考えていることが適切に伝わったんじゃないかと思うんです。

理想のパーソナリティは森山直太朗と和田唱

水野さんにとって「こういうふうに喋りたい」という理想のパーソナリティっていらっしゃいますか?

ちょっと細かい話なんですけど、我々ミュージシャンって、新作を出すと各ラジオ局で流していただくための10秒くらいの宣伝コメントを録るんですね。そういうのがめちゃくちゃうまいのが森山直太朗さんなんですよ。

新曲の説明に添えて、ちょっと気になるコメントをさらっと入れてくる。なんてことはないコメントなのに印象に残るんですよね。これがラジオでの喋りのいい温度なのかなっていうふうに思ってて。

あと、TRICERATOPSの和田唱さん。対バンしたときのMCに衝撃を受けたんです。またスピード感の話なんですけど(笑)、普段喋るときって、ちょっと考えて止まったり、大事なことをあえてゆっくり言ったりってことを自然としてる思うんですけど、和田さんはそれを大勢の人に向けて喋るときも堂々とできる。その感覚は参考にさせていただいてますね。

では最後に、まだラジオを聴いたことのない人に、ラジオの魅力を紹介するとしたら、どんなことを伝えるか教えてください。

…とんちみたいな答えで大変恐縮なんですけど(笑)、まだラジオを聴いたことのない人っていうのは、その分の時間を別のコンテンツに使っているということですよね。

それがTwitterなのかNetflixなのかはわからないけれど、そういう別のメディアに慣れてる人は、ラジオに対していろいろ違和感を覚えることがあると思うんです。「なんでこうしないの?」とか「もっとこうだったらもっと楽しいのに」みたいな。

実はそこに新しい可能性があるかもしれないから、むしろそういう人たちに、僕らの知らない楽しみかたを教えてほしいんです。

皆さんにこの質問をしていますが、「逆に教えてほしい」という答えが返ってきたのは初めてです(笑)。

ですよね(笑)。でも本当に思うんです。やっぱりどうしてもナビゲーターをやっている僕らはラジオに愛着があるから、ラジオの魅力として似たり寄ったりなことをお伝えしちゃう。何かもっと新しいアイデアがないかな、と考えたときに、もしかしたら、答えじゃなく問いを見つけるほうがおもしろいのかもなっていうふうに思ったんです。

なのでぜひ、これを読んでいるかたにラジオを聴いてもらって、アイデアを教えてほしいです。

編集:長嶋太陽
執筆:渡辺紺
撮影:小田駿一