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#このラジオがヤバい | NHK・民放連共同ラジオキャンペーン

あの人が語る #このラジオがヤバい

菅田 将暉

菅田将暉はラジオで「俳優にならなかった自分」を体験する

2年以上に渡ってニッポン放送の『オールナイトニッポン』でパーソナリティを務める菅田将暉(すだまさき)。番組を始めるまでほぼラジオを聴いたことがなかったという彼は、ラジオの世界に飛び込んでから、日々の生活自体に変化をもたらすようなラジオの力に気づかされたという。それは一体何なのか、たびたびゲストとして番組に訪れる松坂桃李にも話題が及びつつ、ありのままの言葉で語った。

ラジオを始めたことによって、社会と自分を接続する時間をもらえてる

ラジオの原体験はいつ頃でしたか?

自分の番組が始まるまでは、松本人志さんと高須光聖さんの『放送室』を聴いていたくらいでした。ラジオの仕事を始めてからは、うちの作家の福田さんが担当している番組は気になって聴いたりしています。やっぱり作家さんが同じだと番組同士に似た雰囲気があって、コアなラジオリスナーは作家で聴く番組を選ぶっていう話がわかった気がしました。

番組は4月で3年目に突入しますが、始まる前と後で変わったことはありますか?

ラジオを始めたことによって、社会と自分を接続する時間をもらえているという感覚があります。俳優の仕事をしていると、季節感や曜日感覚がなくなっていくんです。1週間という区切りで仕事をするわけでもないし、冬だからって冬のシーンを撮るわけでもない。生活リズムもバラバラになってしまうんです。毎週ラジオがあるから「あ、今日月曜日か」って思えて、番組冒頭は時事ネタから入ることも多いので、そういうところで世の中の一般的な流れを意識できる。

番組初期の頃に痛感したのが、いかに自分が世間のことを知らないかってことで。ニュースは見てないし、普段は撮影現場と家の移動だから街にも出ていなくて、今何が流行ってるんだとか、どんなことが求められてるんだとかってことが全然掴めてなかった。今はそういうところを意識するようになったので、ラジオをはじめる前と後では全然感覚が違うと思いますね。

顔も声も知らないけど、その人のことを知ってる

番組では漫画やファッションなど、そのとき菅田さんが興味のあることをそのまま話されています。

番組が立ち上がる前、福田さんと最初に打ち合わせをしたときに、なんだか異様に盛り上がったんですよね。何を話したのかは全然覚えてないんだけど(笑)、そのときの勢いのまま、喋り続けてる感じなんですよ。冨樫義博さんの『レベルE』のことは喋った気がするな。

漫画の話題は番組でも常に出てきますよね。

その時々で自分が読んだ漫画の話をしています。勝手な話なんですけどね、本当に自分で読んだものとか、今気に入ってるものとか。逆に番組で取り上げてから改めてハマることもあって、『テニスの王子様』は、番組きっかけで全巻一気読みしましたからね。電子書籍で一気に買って。もう止まらなくて、今日だって寝不足であんまり目開いてないでしょ(笑)。

リスナーさんとも漫画についてテンポのいいやりとりがあって、印象に残っています。

リスナーさんとは特殊な関係性ですよね。僕は声だけ、向こうは文字だけを送って、僕は相手の顔も声も知らない。

番組が始まった当初本当に驚いたんですよ、世の中にはこんなにおもしろい人がいっぱいいるんだって。うちにゲストで来る方々もまずそこに驚いてくれる人が多いですね。「リスナーさんおもしろいね」って。そこはひとつ、うちの番組の自慢ですね。

リスナーさんたちってラジオをわかってるので、今の流れ上こういうネタが必要だなって判断とか、ツッコミ待ちみたいなこととかもできる。もちろんパーソナリティとリスナーっていう形だけど、一緒に番組を作ってるっていう感じです。なんなら僕なんかよりもずっと番組作りに貢献してくれてると思います。ありがたいなあと思いつつも「お前ら暇か!」とも(笑)。

あと、昔は街中で声かけてくれるのは女性が多かったけど、番組を始めてから男性がかなり増えて、それもうれしかったですね。

「ラジオネーム○○です」って声をかけてくれる人もいて、「おお!」ってびっくりしちゃってどうしていいかわからなくなっちゃうんですけど、顔も声も知らないけどその人のことを知ってるっていう不思議な関係性の2人の出会いが、客観的に見てとてもいい景色だなと思って。やっぱりうれしいですよね。

松坂桃李の存在と、俳優の道に進まなかった場合の自分

ゲストはいつも豪華な方がいらしてますが、中でも松坂桃李さん出演回は毎度大きな話題になりますよね。

ゲストって、いわゆるスペシャルウィークと呼ばれる2ヶ月に1回のスペシャルなときに満を持して出てくれるものですけど、桃李くんは至って普通の放送回にふらっと来るんですよね。別に大事に扱われようと思っていないみたいなので、こっちも大事に扱ってないんですけど(笑)。しかも、ただただ遊戯王の話をしにきただけ。番宣もなしで満足気に帰っていく。自由な人ですよ(笑)。

でも、彼ほどじゃないにせよ、僕もラジオに対しては自由を感じているところがあって。ラジオはメイクをしなくていいし、衣装もない。俳優業のルーティンとは異なるんですよ。声だけ出ればいいし、話す内容も基本的にはライブだし。「俳優の道に進まなかった場合の自分」でいられる、そんな仕事だと感じるときがあるんですよ。

自由である以外に、ラジオをやっていて楽しいと感じるのはどういった点でしょうか。

ラジオだと、本当に心から笑えるんですよね。こんなに笑ったことないってくらい。そこがやってて一番楽しいポイントかな。特に『ショートシャンクの空に』っていうコーナーがあって、リスナーに送ってもらったショートストーリーを僕が読むんですけど、あれに関しては笑いすぎて読めなくなったりしますね。

あとは漫画のあるあるもそうですね。知ってる人同士だけがわかる言葉ってあるじゃないですか。うちの番組だとそのジャンルが漫画であることが多いってことなんですけど、好きだからこその熱量が通じあえたときってバーンとおもしろさが爆発する。ラジオってそういうことが起こりやすい場所だと思うんです。

では、今まだラジオを聴いていない人にラジオの魅力を伝えるとしたら?

僕も自分が番組をやるまでそんなに聴く機会がなかったんですけど、聴いてみて思ったのは、「ああ、こんなにも一対一のやりとりなんだな」ってことでした。テレビのバラエティとも映画とも違う距離感で、とても狭くてプライベートですよね。それこそ家で横になりながら暗闇の中で聴いてたりすると、空間に自分とパーソナリティの2人しかいないような感じさえする。いわゆる芸能人みたいな人たちと、ちゃんと人間としての距離感で接せる場所だと思います。それが大きな魅力じゃないかな。

編集:長嶋太陽
執筆:渡辺紺